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2018/07/05

京都府立高校での主権者教育に、城陽市教育委員会が介入したことに対し、市議会がその対応を批判。

京都府の城陽市で、こうしたことが起こっていたのを初めて知りました。

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主権者教育「介入つながる」 京都、市議会が報告書で批判

 京都府の城陽市議6人を授業に招いた府立西城陽高の主権者教育を巡り、教育長ら市幹部が府教育委員会や同高に問い合わせを行った問題で、市議会議会活性化推進会議が19日、調査報告書をまとめた。
http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20180620000063
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また、記事内に出てくる、城陽市議会による調査報告書は、以下です。

http://www.city.joyo.kyoto.jp/gikai/oshirase/cyousahoukokusyo.pdf#search=%27%E5%BA%9C%E7%AB%8B%E8%A5%BF%E5%9F%8E%E9%99%BD%E9%AB%98%E3%81%AE%E4%B8%BB%E6%A8%A9%E8%80%85%E6%95%99%E8%82%B2%27


もともとは、府立高校で市議会議員6名を招いた意見交換を行った際、賛否が分かれている地元の文化施設の売却問題について、高校生が質問したところ、各議員がそれぞれの見解を述べた、ということです。
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京都府城陽市の府立西城陽高が主権者教育の一環として2月に行った同市議会との意見交換会で、市民の間で賛否の分かれる大規模文化複合施設「文化パルク城陽」売却問題が取り上げられたことを同市の井関守教育長が問題視し、府教育委員会に対して同高への事実確認を求めていたことが23日分かった。施設売却を担当する市の長谷川雅俊政策戦略監付次長も高校に直接、授業内容を問い合わせていた。
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20180328000054
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調査報告書を読むと、(府立高校での意見交換会に参加していない)市議会議員から教育長に対して、問題視するような働きかけがあり(調査報告書では、『主権者教育の実施直後から、○○議員(調査報告書では実名)は文化パルク城陽のセール・アンド・リースバックが当日、急遽議題に取り上げられたことを問題視し、「あれはあかん。抗議せなあかん」と何度も発言している姿を他の議員等が確認』)、それを踏まえて、教育長や教育委員会の職員が、高校に何度も問い合わせをしたとのこと。


うーん、教育委員会も教育委員会ですし、問題視する市議会議員も市議会議員。

なぜ、現に起こっている市の課題について、高校生が質問したり、議論してはいけないのか。

むしろ、「考えさせない市民」を作りたいのではないか、と思わずにはいられません。


救いなのは(とはいえ、当然の対応とも言えますが)、こうした教育委員会の対応に対して、市議会がきちんと報告書を作成し、教育委員会を批判していること。

調査報告書の最後に、以下の一文があります。
---
今回、意欲的な主権者教育を実施した西城陽高校の生徒、校長先生はじめ関係者の心痛は、はかり知れない。
このうえは生徒、保護者、学校関係者及び市民に多大なご迷惑、ご心配をおかけしたことを、深くお詫び申し上げるとともに、西城陽高校におかれては、今後も先進的かつ積極的な主権者教育の展開と、生徒たちの健やかな成長を願う次第である。
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城陽市議会のように、主権者教育に対して真摯に向き合う議会が、どんどん増えて欲しいです。

2018/03/19

コスタリカ視察報告(4)~国全体で取り組む民主主義教育

12歳からIDカードを持てるコスタリカでは、出生登録・婚姻届・選挙人登録など、全国民のデータを選挙最高裁判所が取り扱っています。そして選挙最高裁判所が、子ども・若者を含めたあらゆる年代に民主主義を定着させることを目指した、民主主義教育に取り組んでいます。

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↑国会議事堂の議事内の様子


そのために、「民主主義の内容、実践」「民主主義のメカニズム」「女性の参加、エンパワーメント」「選挙の方法」といった内容ごとに教材を作成し、全国各地でワークショップを実施しています。特にコスタリカでは、公立のすべての小中学校で児童会選挙・生徒会選挙を実施することが義務付けられ、選挙の方法も法律で決められています。そこで選挙最高裁判所のメンバーが、選挙プロセスを学ぶ教材を作成し、出前授業を学校で行うほか、教員向けの研修も行っています。


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↑選挙最高裁判所が作成した、小中学生対象の選挙プロセスを学ぶ教材


また、学校教育においては、公教育省(日本の文部科学省に該当)を訪問しました。①コミュニティサービス(地域活動)、②児童会・生徒会活動、③学生のリーダーシップ養成、④学生と議員が話し合う機会(年3回)、⑤安全な通学路、といった5つのプログラムを通して民主主義を学び、体験し、参加する機会を設けているとのことでした。

「子どもが社会に参加することを重視し、その一環として子どもと県議会議員との意見交換を公教育省が実施している」「(R.ハートの参加のはしごを用いながら)学校や各教育機関において、子どもが提案したり、市民としてのリーダーシップを発揮できることが出大事であり、そうした子どもの意見表明や参加を受け入れられるキャパシティーを持つ必要がある」との話には、日本における教育行政の認識との違いに驚きを感じました。

なお、日本で常に議題となる「政治的中立性」について話を伺ったところ、公教育省の職員からは「民主主義を教えるために政治を扱うのは問題ないが、政党のイデオロギーを教えることは問題がある。それは、市民の原則として当たり前のこと。コスタリカの憲法には<自分の意見を持つこと><他人を尊重すること>が書かれており、特定のイデオロギーを教えることは憲法に反する。」とのこと。

いやいや、こんな質問をしたこと自体が恥ずかしいくらいの回答でした。むしろ日本では、(左寄り・右寄り、関係なく)教員自身が抱いている“自分自身の考え・意見”を【正しいこと】として教え、自分自身の考えや意見に反する主張を【正しくないこと】として教えていることを見聞きしますが、こうした一方的に考えを教えることそのものに問題がある、ということに、もっと学校現場の先生方はシビアにとらえるべきだと思わずにはいられません。

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↑話を伺った、コスタリカ公教育省の職員と

2018/03/16

コスタリカ視察報告(3)~親子連れでテレビ局、博物館、電気店で模擬選挙!

コスタリカの模擬選挙は1980年代くらいから取り組まれているようです。選挙が行われるのは2月最初の日曜日と決まっているのですが、この時期、学校は長期休み(2月10日頃から新学期)でもあり、学校で模擬選挙が行われるのではなく、民間組織が好き勝手に取り組んでいます。私が見学したのは2箇所で、1つはテレビ局(チャンネル7/民放で、人気のあるテレビ局)で、もう1箇所は子ども博物館でした。


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↑タブレットで投票する女の子(チャンネル7)


テレビ局では、敷地外の駐車場に特設ブースを設け、タブレットで投票できるようにしていました。今回は7000人以上の子どもが投票し、投票するとアナウンサーと写真を撮ったりしていました。

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↑人気があるらしい、チャンネル7のタレント?と


また、子ども博物館は、実際の選挙で使用する投票用紙に似せた投票用紙に投票する方法で、模擬選挙が行われていました。1700人弱の投票がありました。


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↑子ども博物館で投票する男の子。どの保護者も、子どもが投票している姿を写真に撮っていました。


投票に来ていた子に投票した理由を伺ったところ「この人を選ばないと戦争になってしまうとお父さんが話していたから(6歳・女)」「家族のために活動するよ、と言っていたから(5歳・男)」「お父さんとお母さんが投票した人と同じ人に投票した(9歳男)」など、色々と考えているようでした。

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↑投票所の受付は長蛇の列。でも、誰も文句を言わず、むしろ投票できることにワクワクしている雰囲気。


また、いずれの場所でも親子連れで投票に来ていたので、保護者にも感想を伺ったところ「政治に対する動機付けになるから良いと思う(母)」「すごく重要な取り組み。民主的なプロセスを小さい時から学び、自分の意見を子ども時代から言えることは大事(母)」「非常にすばらしいこと。大きくなってから責任を果たせるようになると思う(父)」「(自分とは異なる候補者に投票した、という子どもについて)周りの意見に左右されないことは良いこと(父)」というように、まさに親子で、政治や選挙について日頃から考えたり話していることを感じました。

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↑親子にヒアリング。


コスタリカの模擬選挙は、これら以外にも、家電量販店GOLLOゴジョが約130店舗で実施し1.3万人が投票するなど、各地で取り組まれています。


*Teletica Canal 7
https://www.teletica.com/185310_elecciones-infantiles-de-teletica-convocaron-a-cientos-de-ninos-de-todo-el-país

*子ども博物館
https://www.facebook.com/museodelosninoscr/photos/a.111466708935654.19461.111464458935879/1604789212936722/?type=3&theater

*Gollo
http://www.repretel.com/actualidad/mayoria-de-ninos-costarricenses-votaron-por-fabricio-alvarado-en-elecciones-infantiles-104574


これまで、模擬選挙は、アメリカ、ドイツ、スウェーデンで視察をしてきましたが、これらの国では学校で模擬選挙の取り組みがされていました(ドイツの場合は、学校で行うものと、児童館/ユースセンターで行うものの2団体)。

コスタリカの場合は、学校が長期休み中ということもあり、学校では取り組まれず、学校外で、しかも、各団体・企業が好き勝手に取り組んでいます。

そして、そうした模擬選挙に、親子で投票しにいくことが当たり前とのこと。

お国柄と言えばそれまでですが、子どもの時から、親が子どもともに選挙や政治について話すことのハードルがほとんどなく、身近なんだということを、他国以上にコスタリカでは感じました。


2018/03/07

コスタリカ視察報告(2)~子どもも選挙運動ができるコスタリカの選挙

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↑投票所の様子。コスタリカでは、投票所内でも自由に撮影ができます(もちろん、記入済みの投票用紙を撮影することはできません)。


コスタリカでは、4年に1度、大統領選挙・国会議員選挙(57議席)が行われます。大統領選挙・国会議員選挙ともに再選が認められていないため、現職の大統領や国会議員は立候補することはできません。

つまり、今回の選挙で当選した方は、次回の選挙に立候補できず、別の方が立候補するので、交互に立候補することになります。

日本では、衆議院議員選挙において、小選挙区と比例区の立候補を交互に行うことを「コスタリカ方式」と言いますが、このような、コスタリカの立候補の仕方を知った森・元総理が「コスタリカ方式」と名づけたそうです。ただしコスタリカ人は、「コスタリカ方式」とは言わないそうです。


大統領制のため、大統領は国会議員を兼任することはできません(国会議員経験者が大統領になることは可能)。また、国会議員選挙は、政党名による完全比例選挙です。

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↑投票用紙。白いほうが大統領選挙、青いほうが国会議員選挙。支持する候補者・政党の欄にチェックを入れる。


そして憲法で、4割以上の議員は女性とすることが定められているため、各政党の候補者リストは、男女を交互に掲載することとなっています。

コスタリカの成人年齢は18歳で、18歳から投票することができますが、立候補できるのは21歳以上のコスタリカ国籍がある人で、政党に所属していなければなりません。


2000年までは2大政党の争いでしたが、2000年以降は政党が複数出てきて、以後、どの政党も議会における過半数を占めていません(そのため、連立を組む必要がある)。

選挙運動には特に定めがなく、日本のように選挙カーも時々走っていますが、基本的には、支持者が自分の車に支持する政党の旗を立てたり、クラクションを鳴らしたりしてアピールしています。

また、テレビ局では長時間、候補者によるディベートが行われていました。

選挙期間中は、政府機関である選挙最高裁判所が、候補者を集めた討論会を選挙最高裁判所内のホールで実施したり、投票所に行くことができない方がいる刑務所や高齢者施設に出向いて、投票の機会を設けるなどしています。


投票日当日も選挙運動ができるので、投票所(公立の小学校・中学校が投票所になる)の入り口前で、各政党が政党ブースを出し、投票しに来た人にアピールをしていました。


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↑各政党の支持者が、投票所前で投票を呼びかけるためのテント


何より驚いたのが、日本のように「18歳未満の選挙運動禁止」ということはなく、子どもであっても選挙運動している、ということ。親子で支持政党が異なることも普通にあるようでした。


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↑選挙運動をする小学生と。彼が応援している候補者は、子どもたちに人気があるとのこと。


また、投票所では、投票所内の案内役として小中学生のボランティアがいました。

子どもの時から選挙を身近に感じる工夫をしています。


なお今回の大統領選挙の投票率は65パーセントくらいでしたが、20年前には80パーセントだったそうです。

若者は政治を通して社会を変えていく意識があるため投票率が高いそうで、むしろ政治不信が強い35-40歳代の投票率が他の世代よりも低くなっているとのことです。


2018/03/06

コスタリカ視察報告(1)~就学前の子どもが、親とともに国の未来を考え行動するコスタリカ

自分たちが社会を支えている一員としての意識醸成を育むために、子ども時代から民主主義や平和について学んでいるコスタリカは、選挙があるたびに模擬選挙(子ども選挙)に取り組んでいます。

コスタリカの模擬選挙を見たアメリカ人が、母国に戻ってアメリカの大統領選挙などで模擬選挙を行うようになったと言われています。

「軍隊のない国」「平和憲法の国」として知られているコスタリカ。コスタリカは1949年に制定した憲法で常備軍を廃止し、それまで認められていなかった女性や黒人の政治参加を保障しました。

そして、常備軍を廃止したことで、軍事予算を教育予算に割り振り、教育国家への道を歩むようになりました。

今回、2018年2月に行われたコスタリカ大統領選挙・国会議員選挙に合わせて、コスタリカの子ども・若者に対して取り組まれている模擬選挙、民主主義教育、平和教育に関する現場視察に行ってきました。

 期間:2018年1月31日~2月8日
 訪問先:コスタリカ共和国

次回から4回にわたって、今回のコスタリカ視察で得た特徴的な取り組みを報告します。

1:コスタリカの選挙
2:子ども選挙(模擬選挙)
3:コスタリカの民主主義教育
4:コスタリカの平和教育


※科学研究費助成事業「挑戦的萌芽」<18歳選挙権を踏まえた主権者教育及び子どもの社会参画促進につなげる国際比較研究>として実施

2017/10/31

総選挙における模擬選挙の結果について

2017171030


模擬選挙推進ネットワークは10月22日(日)投開票の「第48回衆議院総選挙」において、未来の有権者(投票日当日に17歳以下)を中心にした「模擬選挙2017」の実施を全国の学校等に呼びかけました。

そして模擬選挙推進ネットワークは、このたび実施呼びかけをしました「模擬選挙2017」の投票結果(暫定版)を
以下のようにとりまとめ、公表しました。

<総選挙2017における模擬選挙の投票結果について>
http://www.mogisenkyo.com/2017/10/31/927/

○2017年10月30日(月)午後6時時点までに集約ができた小学校~大学、計30校(小1、中7、高19、大3)

○投票総数:6,213票 /
 有効投票数:6,024票、白票・無効票数:189票


模擬選挙で投票した生徒による<投票理由><感想>、模擬選挙に取り組まれた先生方の<コメント>なども読み応えがあります。
御覧いただければ幸いです。

2017/10/09

総選挙の公示を前に~未来の有権者も、国民の一人。日本の未来について考えよう。

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※写真は、9月に視察した、ドイツ連邦議会議員選挙での小学生対象の立候補者7人による公開討論会のもの。


いよいよ衆議院議員総選挙が公示を迎えます。

総選挙は、毎回毎回、色々な話題を呼んでいますが、今回の総選挙も目が離せません。

そして、「18歳選挙権」となってから”初めての総選挙”です。


<学校の役割>

急な総選挙ということで、「授業が間に合わない」「生徒に教える時間がない」「高校3年生は受験を控えている」などなど、”後ろ向き”な声が聞こえて居ますが、一方で、模擬選挙を行う学校も30校近くあります。
模擬選挙を行うことがすべてではありませんが、選挙について何も触れない、というもどうかなぁ、と思います。

授業内で選挙で争点になっていることを話題にする、新聞などを校舎内に掲示する、公示日のニュースを授業内で観る、など、できることはたくさんあります。

あるいは、「保護者と一緒に投票所に行ってみよう!」と呼びかけることだって、立派な政治教育の働きかけです。

今回の選挙結果が、子どもたちの未来を決める、といっても過言ではありません(そもそも、”消費税の使途を問う”というのが争点であれば、なおさらです)。

高校のみならず、中学校、小学校、あるいは保育園・幼稚園でも、ぜひとも選挙や政治について取り上げてください。
そうした身近なところの働きかけが無いからこそ「選挙や政治について話してはいけない」という風潮を生み出してしまいます。

4歳は4歳なりに、16歳は16歳として、社会のこと、身の回りのことを考えています。
せっかく社会が盛り上がっているのです。この機会に、政治や選挙について話し合う機会を、10分でも、20分でも、創ってください。


<家庭・地域の役割>

子どもにとって身近な家庭。家族の中で、政治や選挙について会話が無いのに「今どきの若者は政治に関心が無い」なんて言ってしまって、良いのでしょうか。

新聞やテレビ、ネットニュースなどを家庭内で話題にしませんか。

そして、投票に行く際は、ぜひとも子どもと一緒に行ってください。
投票所に行く道中に、選挙のこと、子どもの未来について、ご自身の想いなどを話してください。
それだって立派な政治教育・主権者教育です。

子どもは、”親の背中”を見て育ちます。

また、ぜひとも学校に対して、身近な選挙や政治を扱うように、働き掛けてください。
(学校側は、地域の反応を気にしています。応援者がいれば、積極的に取り組めます)


<政党・立候補者の役割>

今回の総選挙は、新党が複数立ち上がったりしたこともあり、注目を集めています。
そして、立候補者にしてみれば、「当選しなければタダの人」のため、まずは目の前の有権者ばかり意識がいってしまうことでしょう。

しかし、これからの日本を支えていくのは、目の前の有権者だけではなく、未来の有権者も、です。

未来の有権者・若者に向けて、分かりやすく政策を語ってください。
未来の有権者・若者のことを意識した政策を語ってください。
未来の有権者・若者を見かけたら、ぜひとも声をかけてください。

「若者の投票率」が低いと言われていますが、今回の選挙においては、”若者の一票”が勝敗を決する可能性が高いです。
若者が投票に行ってみよう、と思える環境を心がけてください!


<若者の役割>

また、少子化の中で、”シルバーデモクラシー”と言われることにより、相対的に若年層の声が政治に届きにくくなっているのは事実です。

とはいえ、総選挙における選挙区は「小選挙区制」です。
一票でも多く取った候補者が当選します。
つまり、普段から投票に行く高齢者層以上に、若年層による一票が、実は当選を左右します。
前回(2014年12月)の総選挙では、<最小得票差は102票、2000票以内の僅差は10選挙区>でした。

「たかが一票では変わらない」とよく言いますが、”102票差”で当落が決まるとなると、「たかが一票」なんて言えません。
むしろ、皆さんの一票が、選挙区の候補者の当落を左右するのです。
「よく分からないから無責任に投票できない」という言い訳をするのではなく、「自分だったら」の視点で、一票を投じてください。


<未来の有権者の役割>

未来の有権者は、当然のことながら投票できませんが、今回の選挙結果が、皆さんのこれからの未来を決めることは間違いありません。
今回の選挙を、皆さんだったらどのように考えるのか。
実際の有権者となった時に、自分なりの視点で判断できるように、今回の選挙に注目してください。

ぜひとも、友だちや保護者などと、選挙や政治について話してください。

また、学校に対して、選挙や政治について取り上げるように、働きかけをしてください。


<マスメディアの役割>

色々と面白おかしく、報道するところもあります。
また、”フェイクニュース”と言われるように、「真実かどうか」分からない報道も増えてきます。

ただ、そうした行為が、結局は政治不信を招いているのも事実です。

情報を分かりやすく伝えることを、丁寧に取り組んでください。


2017/10/08

総選挙における模擬選挙の実施について

10月10日公示、22日投開票の総選挙。
今回も、模擬選挙の実施を呼びかけています。

今回も、全国30校近い学校(中学校、高校、大学)が、模擬選挙を実施します。
詳しくは、以下をご覧ください。


【第48回衆議院議員総選挙における模擬選挙について】 http://www.mogisenkyo.com/2017/10/08/913/

2017/09/25

ドイツ連邦議会議員選挙の模擬選挙と実際の選挙結果【ドイツのシティズンシップ教育視察2017 part.4】

ドイツ連邦議会議員選挙の結果が出ました。
http://www.bbc.com/japanese/41383219

アンゲラ・メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党、社会民主党(SPD)が第2党、右翼国家主義政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が第3党、とのこと。


では、ドイツの未来の有権者は、模擬選挙においてどのような判断をしたのでしょうか。

100万人弱が投票した<JuniorWahl>の結果は、以下のとおりとなっています。

http://www.juniorwahl.de/bundestagswahl-2017.html

 CDU/CSU 27.0%
 SPD 19.3%
 LINKE 7.3%
 Green 17.9%
 FDP 8.8%
 AfD 6.0%
 その他 13.7%

また、22万人が投票した<U18>は以下のとおりです。
 http://www.u18.org/bundestagswahl-2017/ 

 CDU:28.5%
 SPD:19.8%
 同盟/グリーン:16.6%、
 左翼党:8.1%
 AfD:6.8%
 FDP:5.7%


<実際の結果><JuniorWahl><U18>の3つをグラフ化してみると、以下のようになります。

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ご覧のように、第1党、第2党はどれも同じですが、第3党が、模擬選挙(JuniorWahl、U18)と実際の結果で異なります。
今回の選挙においては、18歳以上の実際の有権者はAfDの支持が高く、未来の有権者は環境問題に関心が高い、と言えます。

実際、模擬選挙の投票前に行われた、小学生と立候補者の討論会に参加したところ、環境党に多くの小学生が集まり、候補者に質問をしていました。


いずれにせよ、ドイツでは120万人以上の未来の有権者が投票し、意思表示しました。
彼らの声はどこまでおとなの世界に届くのか。
ドイツにおけるシティズンシップ教育のこれからに注目をしています。

2017/09/22

実際の投票日前に模擬選挙の結果を公表するドイツ!【ドイツのシティズンシップ教育視察2017 part.3】

9月24日(日)が投票日のドイツ連邦議会議員選挙。

ドイツの選挙は、日本と異なり、街宣車が駅前に繰り出したりはせず、屋内での討論会がメインのようです。
そして、各政党の支持者が、人通りの多い教会前や駅前などの広場で、チラシやグッズを配布したりしています。

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どの政党も同じような場所で宣伝活動を行うため、写真のように、複数の政党が集まっていたりします。

そしてチラシを配布する際には、できるだけ受け取ってもらうようにするためか、ボールペン、風船、種、花なども一緒に配っています。
日本ですと、「うちわ」や「カレンダー」を配布すると「公職選挙法違反」になってしまうことを考えると、ドイツの選挙戦は自由だなぁと感じます。

そして候補者の選挙ポスターは、公設の掲示板はなく、電柱や街頭であれば貼って良いようで、いたるところに貼られていました。
「ポスターがみっともない!」なんていう批判が、日本ではよくありますが、ドイツのほうがポスターが目立っています。


さて、そうした選挙戦ですが、実はすでに、結果が出ています。

そうです、模擬選挙の結果です。

http://www.u18.org/bundestagswahl-2017/

模擬選挙には、約22万人!の18歳未満の子ども。若者が参加しています。
そして、その結果は、以下のとおりとなっています。
 CDU:28.5%
 SPD:19.8%
 同盟/グリーン:16.6%、
 左翼党:8.1%
 AfD:6.8%
 FDP:5.7%

しかも、この模擬選挙の結果は、投票日の一週間前の9/15(金)の夜に公表されており、その公表イベントの特番がテレビ・インターネットで放送されました。
特番は、以下のサイトで見ることができます。
http://www.u18.org/bundestagswahl-2017/
     https://www.youtube.com/watch?v=u9nRWu_Ce2Y&feature=youtu.be

私は、模擬選挙の開票イベントに参加しましたが、その場でも、実際の立候補者が7人ほど参加して、討論をしていました。

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屋外でのイベントで、参加していたのは子どもだけではなく、親子連れということを考えると、子ども向けの討論と言うよりは、実際の有権者向けの討論会という趣もありましたが、親子で討論会に参加している雰囲気は非常に良かったです。

候補者の服装も、スーツ・ネクタイというものではなく、非常にフランクで、”近所のおじさん・おばさん”のような近さを感じました。


さて、模擬選挙ですが、まずはなんといっても、模擬選挙に22万人の未来の有権者が投票していることが驚きです。

日本では、昨年から18歳選挙権が始まり、(私も作成協力を行った)文科省・総務省による高校生向け副教材『私たちが拓く日本の未来』において、実際の選挙を題材にした模擬選挙が取り上げられました。

私自身は、2002年の町田市長選挙以降、実際の選挙を題材にした模擬選挙の普及・推進に取り組んできましたが、それでもこの間の模擬選挙(国政・地方問わず)の投票総数は約6万票あまりです。

昨年の参院選の際には、模擬選挙に取り組んだ学校が増えてはいますが、選挙結果を公表しない学校もあることから総数は分かりませんが、推定でも5万票あまりだと思います。(全県で模擬選挙を実施した神奈川県の生徒数などを含む)


さらには、日本は、公職選挙法との関係から、<模擬選挙=人気投票>と位置づけられてしまうため、実際の選挙結果が公表される前に模擬選挙の結果を公表することはできません。(また、模擬選挙の結果そのものを公表しない学校もありました。。。)

アメリカでの模擬選挙も、その結果を事前に公表しています。

実際の投票日前に模擬選挙の結果を公表するということは、未来の有権者の考えを、実際の有権者が考えた上で投票を行う、ということにつながるということを考えると、有権者ではない18歳未満の声も、このような形で選挙に反映することができる、ということになります。

子どもの声・意思に、有権者が影響を受けるのかどうか分かりませんが、有権者は、自分のことだけではなく、未来の有権者の声・意思を考えて投票するということは、民主主義を支えていくために大事なことだと感じずにはいられません。

---

なおドイツの模擬選挙は、以下の2つの団体がそれぞれ呼びかけて実施しており、今回のドイツ視察でも、それぞれの現場を見てきました。

・U18
   主にユースセンターや学童保育クラブなど、学校外での模擬選挙を実施。
   9月15日(金)に模擬選挙の開票イベントおよび選挙特番を地上波およびウェブで放送。
     http://www.u18.org/bundestagswahl-2017/
     https://www.youtube.com/watch?v=u9nRWu_Ce2Y&feature=youtu.be

・Junior Wahl
   ジュニア選挙/学校での模擬選挙を実施。
   模擬選挙を実施する前の学校向けの教材なども提供。
   模擬選挙の結果は、実際の選挙と同じ9/24に公表。
   http://www.juniorwahl.de/bundestagswahl-2017.html

U18の呼びかけで、3つの小学校が合同して、その地区の候補者を招いた「小学生のための公開討論会」が行われたことについては、前回の投稿をご一読ください。
 ドイツでは選挙期間中に小学生と候補者が討論する!!【ドイツのシティズンシップ教育視察2017 part.2】


Junior Whalの模擬選挙の結果は、9/24に公表となりますが、こちらはこちらで、楽しみです。


子どもにとっても政治が身近なことを感じるのがドイツ。
子ども時代から民主主義を体感する場を大事にしているのがドイツ。

日本との違いを感じます。


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