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2017/09/25

ドイツ連邦議会議員選挙の模擬選挙と実際の選挙結果【ドイツのシティズンシップ教育視察2017 part.4】

ドイツ連邦議会議員選挙の結果が出ました。
http://www.bbc.com/japanese/41383219

アンゲラ・メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党、社会民主党(SPD)が第2党、右翼国家主義政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が第3党、とのこと。


では、ドイツの未来の有権者は、模擬選挙においてどのような判断をしたのでしょうか。

100万人弱が投票した<JuniorWahl>の結果は、以下のとおりとなっています。

http://www.juniorwahl.de/bundestagswahl-2017.html

 CDU/CSU 27.0%
 SPD 19.3%
 LINKE 7.3%
 Green 17.9%
 FDP 8.8%
 AfD 6.0%
 その他 13.7%

また、22万人が投票した<U18>は以下のとおりです。
 http://www.u18.org/bundestagswahl-2017/ 

 CDU:28.5%
 SPD:19.8%
 同盟/グリーン:16.6%、
 左翼党:8.1%
 AfD:6.8%
 FDP:5.7%


<実際の結果><JuniorWahl><U18>の3つをグラフ化してみると、以下のようになります。

2


ご覧のように、第1党、第2党はどれも同じですが、第3党が、模擬選挙(JuniorWahl、U18)と実際の結果で異なります。
今回の選挙においては、18歳以上の実際の有権者はAfDの支持が高く、未来の有権者は環境問題に関心が高い、と言えます。

実際、模擬選挙の投票前に行われた、小学生と立候補者の討論会に参加したところ、環境党に多くの小学生が集まり、候補者に質問をしていました。


いずれにせよ、ドイツでは120万人以上の未来の有権者が投票し、意思表示しました。
彼らの声はどこまでおとなの世界に届くのか。
ドイツにおけるシティズンシップ教育のこれからに注目をしています。

2017/09/22

実際の投票日前に模擬選挙の結果を公表するドイツ!【ドイツのシティズンシップ教育視察2017 part.3】

9月24日(日)が投票日のドイツ連邦議会議員選挙。

ドイツの選挙は、日本と異なり、街宣車が駅前に繰り出したりはせず、屋内での討論会がメインのようです。
そして、各政党の支持者が、人通りの多い教会前や駅前などの広場で、チラシやグッズを配布したりしています。

Simg3642

どの政党も同じような場所で宣伝活動を行うため、写真のように、複数の政党が集まっていたりします。

そしてチラシを配布する際には、できるだけ受け取ってもらうようにするためか、ボールペン、風船、種、花なども一緒に配っています。
日本ですと、「うちわ」や「カレンダー」を配布すると「公職選挙法違反」になってしまうことを考えると、ドイツの選挙戦は自由だなぁと感じます。

そして候補者の選挙ポスターは、公設の掲示板はなく、電柱や街頭であれば貼って良いようで、いたるところに貼られていました。
「ポスターがみっともない!」なんていう批判が、日本ではよくありますが、ドイツのほうがポスターが目立っています。


さて、そうした選挙戦ですが、実はすでに、結果が出ています。

そうです、模擬選挙の結果です。

http://www.u18.org/bundestagswahl-2017/

模擬選挙には、約22万人!の18歳未満の子ども。若者が参加しています。
そして、その結果は、以下のとおりとなっています。
 CDU:28.5%
 SPD:19.8%
 同盟/グリーン:16.6%、
 左翼党:8.1%
 AfD:6.8%
 FDP:5.7%

しかも、この模擬選挙の結果は、投票日の一週間前の9/15(金)の夜に公表されており、その公表イベントの特番がテレビ・インターネットで放送されました。
特番は、以下のサイトで見ることができます。
http://www.u18.org/bundestagswahl-2017/
     https://www.youtube.com/watch?v=u9nRWu_Ce2Y&feature=youtu.be

私は、模擬選挙の開票イベントに参加しましたが、その場でも、実際の立候補者が7人ほど参加して、討論をしていました。

U18img3619_2


屋外でのイベントで、参加していたのは子どもだけではなく、親子連れということを考えると、子ども向けの討論と言うよりは、実際の有権者向けの討論会という趣もありましたが、親子で討論会に参加している雰囲気は非常に良かったです。

候補者の服装も、スーツ・ネクタイというものではなく、非常にフランクで、”近所のおじさん・おばさん”のような近さを感じました。


さて、模擬選挙ですが、まずはなんといっても、模擬選挙に22万人の未来の有権者が投票していることが驚きです。

日本では、昨年から18歳選挙権が始まり、(私も作成協力を行った)文科省・総務省による高校生向け副教材『私たちが拓く日本の未来』において、実際の選挙を題材にした模擬選挙が取り上げられました。

私自身は、2002年の町田市長選挙以降、実際の選挙を題材にした模擬選挙の普及・推進に取り組んできましたが、それでもこの間の模擬選挙(国政・地方問わず)の投票総数は約6万票あまりです。

昨年の参院選の際には、模擬選挙に取り組んだ学校が増えてはいますが、選挙結果を公表しない学校もあることから総数は分かりませんが、推定でも5万票あまりだと思います。(全県で模擬選挙を実施した神奈川県の生徒数などを含む)


さらには、日本は、公職選挙法との関係から、<模擬選挙=人気投票>と位置づけられてしまうため、実際の選挙結果が公表される前に模擬選挙の結果を公表することはできません。(また、模擬選挙の結果そのものを公表しない学校もありました。。。)

アメリカでの模擬選挙も、その結果を事前に公表しています。

実際の投票日前に模擬選挙の結果を公表するということは、未来の有権者の考えを、実際の有権者が考えた上で投票を行う、ということにつながるということを考えると、有権者ではない18歳未満の声も、このような形で選挙に反映することができる、ということになります。

子どもの声・意思に、有権者が影響を受けるのかどうか分かりませんが、有権者は、自分のことだけではなく、未来の有権者の声・意思を考えて投票するということは、民主主義を支えていくために大事なことだと感じずにはいられません。

---

なおドイツの模擬選挙は、以下の2つの団体がそれぞれ呼びかけて実施しており、今回のドイツ視察でも、それぞれの現場を見てきました。

・U18
   主にユースセンターや学童保育クラブなど、学校外での模擬選挙を実施。
   9月15日(金)に模擬選挙の開票イベントおよび選挙特番を地上波およびウェブで放送。
     http://www.u18.org/bundestagswahl-2017/
     https://www.youtube.com/watch?v=u9nRWu_Ce2Y&feature=youtu.be

・Junior Wahl
   ジュニア選挙/学校での模擬選挙を実施。
   模擬選挙を実施する前の学校向けの教材なども提供。
   模擬選挙の結果は、実際の選挙と同じ9/24に公表。
   http://www.juniorwahl.de/bundestagswahl-2017.html

U18の呼びかけで、3つの小学校が合同して、その地区の候補者を招いた「小学生のための公開討論会」が行われたことについては、前回の投稿をご一読ください。
 ドイツでは選挙期間中に小学生と候補者が討論する!!【ドイツのシティズンシップ教育視察2017 part.2】


Junior Whalの模擬選挙の結果は、9/24に公表となりますが、こちらはこちらで、楽しみです。


子どもにとっても政治が身近なことを感じるのがドイツ。
子ども時代から民主主義を体感する場を大事にしているのがドイツ。

日本との違いを感じます。


2017/09/19

ドイツでは選挙期間中に小学生と候補者が討論する!!【ドイツのシティズンシップ教育視察2017 part.2】

ドイツ視察でおどろいたことは、選挙期間中であっても、立候補者が小学生や中学生、高校生といった、未来の有権者と真剣に討論する、ということ。

今回の視察においては、13日(水)10-12時、小学生と候補者の討論会に参加しました。

会場は民間の子ども美術館のホールで、近隣の3つの学校の5-8年生、およそ150人あまりが参加。

候補者も、与党CDUのほか、SPD、FDP、左翼党、緑の党、AfDなど7党から参加。

前半(約1時間)、事前に小学生が考えた質問を、各政党が順番に答え、後半(約1時間)は候補者ごとのブースで直接意見交換、という流れでした。

1img3720


教員は引率だけで、司会は当然、小学生。

小学生からの質問は、
 ・(会場となっている)子ども美術館への補助についてどのように考えているか
 ・学校制度についてどのように考えているか(ドイツでは、小学4年生の時点で自分の進路を決める)
 ・国会議員になったら何をしたいか
 ・難民についてどのように考えているか
 ・同姓婚についてどのように考えているか
といったもので、実際に、有権者であっても気になる内容です。

質問に対して、ユーモラスに答える候補者もいれば、淡々と説明する候補者も。
そして回答内容によっては、ブーイングや歓声、拍手が子どもたちから起こります。

日本だったら、「話を聴くときは静かに」「回答が終わったらみんなで拍手」などなど、堅っ苦しくなることが予想できます。

しかも会場が子ども美術館ということもあり、とてもフランクな感じで堅苦しくなく、候補者を身近に感じることができます。


後半の各候補者との意見交換の時間も、候補者に小学生が群がっていました。

2img3310_2


どの質問に対しても、候補者は丁寧に対応をしていました。

参加した小学生からは「政治は、経済のことも決めるから大事だと思う(10歳)」「政治が良くないと言いながら選挙に行かないのはおかしい(14歳)」「家族とテレビのニュースを見ながら世界はどうなっているか話している(14歳)」「政治はまじめくさっていると思ったが、参加して面白かった(13歳)」「選挙に行けば自分の声が反映される(13歳)」といった感想がありました。

もちろん、皆がみな、まじめに参加しているわけではなく、隅のほうでスマホを見ていたり、友だちと(テーマとは関係ないと思われる内容を)話している子もいました。これはまぁ、日本でも同じことだと思います。


とはいえ、今は選挙期間。
立候補者にとっては、少しでも多くの有権者と話したいところにも限らず、”目の前”の選挙における一票につながらない18歳未満と、選挙期間中にも関わらず議論するというのは、どういうことなのか。

実際、日本では、選挙期間中、街頭で候補者が配布している選挙チラシを、高校生が受け取ろうとしたら、候補者が手を引っ込めて渡してくれなかった、なんてこともありました。

日本とドイツの違いは何なのでしょうか?

小学生と対話するメリットについて候補者に伺ったところ、「若いときから政治は良いものだと分かって欲しい」「複雑なことは簡単に話して、身近になるように心がけて説明した」「若者にとっては政治は身近なものであり、教育や大学など、関係するテーマを扱って意識を高めている」といった発言がありました。

さらには「普段、おとなから質問されるのと同じような質問で、それほど特徴的ではなかった」という候補者(現職の議員)の感想もありました。

「子どもの保護者の票を期待しているのでないか?」と秘かに思っていたのですが、さすがにそうした話は無く、選挙だろうと、子どもに政治が身近だということを伝える機会を大事にしていることが伺えました。

こうした小学生との討論は、何もこの会場だけではなく、各地でも行われているとのこと。
しかも、国政選挙の時だけではなく、地方選挙でも。

自分たちの国を、地域を、社会を、おとなだけではなく子ども時代から意識していく土壌を作ることを、とても意識していることを感じました。

【ドイツのシティズンシップ教育視察2017 part.1】視察・訪問の概要

9月11日(月)~17日(日)にかけて、ドイツ(ボン・ベルリン)に行ってきました。

ドイツ訪問の目的は、現在、ドイツで行われている連邦議会議員選挙(9月24日投票)において、どのような政治教育・シティズンシップ教育が行われているのか、未来の有権者を対象にした模擬選挙はどのようなものなのか、についての視察でした。

今回は、日本国内で政治教育・シティズンシップ教育に取り組んでいる大学生・大学院生など、6名での視察となりました。

ちなみに私はこれまで、アメリカ大統領選挙(2008/2016)、スウェーデン総選挙(2014)、における模擬選挙を視察してきましたが、やはり、国によって制度や状況、内容は異なっており、それぞれ特色があります。

そうした中、今回、ドイツで視察・訪問を行った主な内容は以下になります。

(1)ドイツ政治教育センター
・ナチス時代の反省に立ち、民主主義を重視するドイツにおける政治教育、シティズンシップ教育
・政府として取り組む政治教育の意味
・政治的中立性を担保するためのボイテルス・バッハ・コンセンサス

(2)ドイツにおける子ども・若者の社会参画や子どもの権利保障システムについて
・子どもの権利条約に基づく、行政施策運営の位置づけ
・子ども・若者の社会参画のあり方

(3)公園再開発に向けた保育園児向けワークショップ

・当事者の声を施策に反映する必要性
・就学前の子どもの声をどのように聴くか

(4)実際の立候補者による、小学生~中学生世代向け公開討論会

・小学生~中学生世代が関心のある政治テーマ
・有権者ではない小学生と意見交換する、立候補者の意識

(5)実際の立候補者による、中学生~高校生世代向け公開討論会
・中学生~高校生世代が関心のある政治テーマ
・当事者が中心となって運営する公開討論会の体制

(6)中高生世代対象の、政治教育ワークショップ(選挙ポスターワークショップ)

・ユースセンターで行う政治教育のあり方
・選挙ポスターを通じた政治意識や地域性

(7)中学校、高校での模擬選挙、シティズンシップ教育のあり方
・中高生世代の政治に対する意識
・「社会科」だけではない、他の教科でのシティズンシップ教育の事例
・実際の選挙を題材にした模擬選挙を行う意味
・模擬選挙に向けた政治教育

(8)模擬選挙に特化した選挙イベント、選挙特番(U-18パーティ&カラオケトーナメント)

・選挙や政治について、子どもたちにいかに興味をもってもらうか、運営側の工夫
・子ども向けイベントに参加する各政党の意識

(9)街中で行われている各政党の選挙活動

・公設掲示板が無く、ポスターを電柱に貼るドイツの選挙
・教会前広場などでの各政党による投票呼びかけ
・ボールペン、風船、花など、配布自由な選挙運動

(10)訪問先のユースセンターや学校の見学

・利用者である子ども・若者がルールを決める
・決めたルールは、変えることができる


それぞれの報告や感想をまとめるには時間がかかりますのが、この視察で得たことについて、何回かに分けて、報告したいと思います。

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