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2017/09/22

実際の投票日前に模擬選挙の結果を公表するドイツ!【ドイツのシティズンシップ教育視察2017 part.3】

9月24日(日)が投票日のドイツ連邦議会議員選挙。

ドイツの選挙は、日本と異なり、街宣車が駅前に繰り出したりはせず、屋内での討論会がメインのようです。
そして、各政党の支持者が、人通りの多い教会前や駅前などの広場で、チラシやグッズを配布したりしています。

Simg3642

どの政党も同じような場所で宣伝活動を行うため、写真のように、複数の政党が集まっていたりします。

そしてチラシを配布する際には、できるだけ受け取ってもらうようにするためか、ボールペン、風船、種、花なども一緒に配っています。
日本ですと、「うちわ」や「カレンダー」を配布すると「公職選挙法違反」になってしまうことを考えると、ドイツの選挙戦は自由だなぁと感じます。

そして候補者の選挙ポスターは、公設の掲示板はなく、電柱や街頭であれば貼って良いようで、いたるところに貼られていました。
「ポスターがみっともない!」なんていう批判が、日本ではよくありますが、ドイツのほうがポスターが目立っています。


さて、そうした選挙戦ですが、実はすでに、結果が出ています。

そうです、模擬選挙の結果です。

http://www.u18.org/bundestagswahl-2017/

模擬選挙には、約22万人!の18歳未満の子ども。若者が参加しています。
そして、その結果は、以下のとおりとなっています。
 CDU:28.5%
 SPD:19.8%
 同盟/グリーン:16.6%、
 左翼党:8.1%
 AfD:6.8%
 FDP:5.7%

しかも、この模擬選挙の結果は、投票日の一週間前の9/15(金)の夜に公表されており、その公表イベントの特番がテレビ・インターネットで放送されました。
特番は、以下のサイトで見ることができます。
http://www.u18.org/bundestagswahl-2017/
     https://www.youtube.com/watch?v=u9nRWu_Ce2Y&feature=youtu.be

私は、模擬選挙の開票イベントに参加しましたが、その場でも、実際の立候補者が7人ほど参加して、討論をしていました。

U18img3619_2


屋外でのイベントで、参加していたのは子どもだけではなく、親子連れということを考えると、子ども向けの討論と言うよりは、実際の有権者向けの討論会という趣もありましたが、親子で討論会に参加している雰囲気は非常に良かったです。

候補者の服装も、スーツ・ネクタイというものではなく、非常にフランクで、”近所のおじさん・おばさん”のような近さを感じました。


さて、模擬選挙ですが、まずはなんといっても、模擬選挙に22万人の未来の有権者が投票していることが驚きです。

日本では、昨年から18歳選挙権が始まり、(私も作成協力を行った)文科省・総務省による高校生向け副教材『私たちが拓く日本の未来』において、実際の選挙を題材にした模擬選挙が取り上げられました。

私自身は、2002年の町田市長選挙以降、実際の選挙を題材にした模擬選挙の普及・推進に取り組んできましたが、それでもこの間の模擬選挙(国政・地方問わず)の投票総数は約6万票あまりです。

昨年の参院選の際には、模擬選挙に取り組んだ学校が増えてはいますが、選挙結果を公表しない学校もあることから総数は分かりませんが、推定でも5万票あまりだと思います。(全県で模擬選挙を実施した神奈川県の生徒数などを含む)


さらには、日本は、公職選挙法との関係から、<模擬選挙=人気投票>と位置づけられてしまうため、実際の選挙結果が公表される前に模擬選挙の結果を公表することはできません。(また、模擬選挙の結果そのものを公表しない学校もありました。。。)

アメリカでの模擬選挙も、その結果を事前に公表しています。

実際の投票日前に模擬選挙の結果を公表するということは、未来の有権者の考えを、実際の有権者が考えた上で投票を行う、ということにつながるということを考えると、有権者ではない18歳未満の声も、このような形で選挙に反映することができる、ということになります。

子どもの声・意思に、有権者が影響を受けるのかどうか分かりませんが、有権者は、自分のことだけではなく、未来の有権者の声・意思を考えて投票するということは、民主主義を支えていくために大事なことだと感じずにはいられません。

---

なおドイツの模擬選挙は、以下の2つの団体がそれぞれ呼びかけて実施しており、今回のドイツ視察でも、それぞれの現場を見てきました。

・U18
   主にユースセンターや学童保育クラブなど、学校外での模擬選挙を実施。
   9月15日(金)に模擬選挙の開票イベントおよび選挙特番を地上波およびウェブで放送。
     http://www.u18.org/bundestagswahl-2017/
     https://www.youtube.com/watch?v=u9nRWu_Ce2Y&feature=youtu.be

・Junior Wahl
   ジュニア選挙/学校での模擬選挙を実施。
   模擬選挙を実施する前の学校向けの教材なども提供。
   模擬選挙の結果は、実際の選挙と同じ9/24に公表。
   http://www.juniorwahl.de/bundestagswahl-2017.html

U18の呼びかけで、3つの小学校が合同して、その地区の候補者を招いた「小学生のための公開討論会」が行われたことについては、前回の投稿をご一読ください。
 ドイツでは選挙期間中に小学生と候補者が討論する!!【ドイツのシティズンシップ教育視察2017 part.2】


Junior Whalの模擬選挙の結果は、9/24に公表となりますが、こちらはこちらで、楽しみです。


子どもにとっても政治が身近なことを感じるのがドイツ。
子ども時代から民主主義を体感する場を大事にしているのがドイツ。

日本との違いを感じます。


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