ドイツでは選挙期間中に小学生と候補者が討論する!!【ドイツのシティズンシップ教育視察2017 part.2】
ドイツ視察でおどろいたことは、選挙期間中であっても、立候補者が小学生や中学生、高校生といった、未来の有権者と真剣に討論する、ということ。
今回の視察においては、13日(水)10-12時、小学生と候補者の討論会に参加しました。
会場は民間の子ども美術館のホールで、近隣の3つの学校の5-8年生、およそ150人あまりが参加。
候補者も、与党CDUのほか、SPD、FDP、左翼党、緑の党、AfDなど7党から参加。
前半(約1時間)、事前に小学生が考えた質問を、各政党が順番に答え、後半(約1時間)は候補者ごとのブースで直接意見交換、という流れでした。
教員は引率だけで、司会は当然、小学生。
小学生からの質問は、
・(会場となっている)子ども美術館への補助についてどのように考えているか
・学校制度についてどのように考えているか(ドイツでは、小学4年生の時点で自分の進路を決める)
・国会議員になったら何をしたいか
・難民についてどのように考えているか
・同姓婚についてどのように考えているか
といったもので、実際に、有権者であっても気になる内容です。
質問に対して、ユーモラスに答える候補者もいれば、淡々と説明する候補者も。
そして回答内容によっては、ブーイングや歓声、拍手が子どもたちから起こります。
日本だったら、「話を聴くときは静かに」「回答が終わったらみんなで拍手」などなど、堅っ苦しくなることが予想できます。
しかも会場が子ども美術館ということもあり、とてもフランクな感じで堅苦しくなく、候補者を身近に感じることができます。
後半の各候補者との意見交換の時間も、候補者に小学生が群がっていました。
どの質問に対しても、候補者は丁寧に対応をしていました。
参加した小学生からは「政治は、経済のことも決めるから大事だと思う(10歳)」「政治が良くないと言いながら選挙に行かないのはおかしい(14歳)」「家族とテレビのニュースを見ながら世界はどうなっているか話している(14歳)」「政治はまじめくさっていると思ったが、参加して面白かった(13歳)」「選挙に行けば自分の声が反映される(13歳)」といった感想がありました。
もちろん、皆がみな、まじめに参加しているわけではなく、隅のほうでスマホを見ていたり、友だちと(テーマとは関係ないと思われる内容を)話している子もいました。これはまぁ、日本でも同じことだと思います。
とはいえ、今は選挙期間。
立候補者にとっては、少しでも多くの有権者と話したいところにも限らず、”目の前”の選挙における一票につながらない18歳未満と、選挙期間中にも関わらず議論するというのは、どういうことなのか。
実際、日本では、選挙期間中、街頭で候補者が配布している選挙チラシを、高校生が受け取ろうとしたら、候補者が手を引っ込めて渡してくれなかった、なんてこともありました。
日本とドイツの違いは何なのでしょうか?
小学生と対話するメリットについて候補者に伺ったところ、「若いときから政治は良いものだと分かって欲しい」「複雑なことは簡単に話して、身近になるように心がけて説明した」「若者にとっては政治は身近なものであり、教育や大学など、関係するテーマを扱って意識を高めている」といった発言がありました。
さらには「普段、おとなから質問されるのと同じような質問で、それほど特徴的ではなかった」という候補者(現職の議員)の感想もありました。
「子どもの保護者の票を期待しているのでないか?」と秘かに思っていたのですが、さすがにそうした話は無く、選挙だろうと、子どもに政治が身近だということを伝える機会を大事にしていることが伺えました。
こうした小学生との討論は、何もこの会場だけではなく、各地でも行われているとのこと。
しかも、国政選挙の時だけではなく、地方選挙でも。
自分たちの国を、地域を、社会を、おとなだけではなく子ども時代から意識していく土壌を作ることを、とても意識していることを感じました。
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