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2017/04/19

労働教育と主権者教育

昨日(4月18日)、日本労働組合総連合会(連合)主催による「労働教育および主権者教育に関するシンポジウム~若者が安心して学び働ける社会の実現に向けて~」において、『18歳以上選挙権と主権者教育』と題した講演を行いました。

18歳選挙権関係で主権者教育について講演などを依頼されますが、そのほとんどが、教員向けだったり、高校生向けだったりと、何かと「学校関係者」向けがほとんどです。

しかし、このシンポジウムは、全国の連合加盟の労働組合から200名近くの方が参加されており、連合傘下の日本教職員組合(日教組)からの参加も数人いましたが、9割以上は教員以外の方が参加されていました。

そうした参加者の中で、「主権者教育」について話すということはどういうことなのか。

”政治的中立性”が求められる学校現場において、「連合が支持する政党や候補者を学校で教えるように働きかける」なんてことはできるわけではない中、依頼された内容でどのような話をしたらよいのか。

そしてまた、私が話す前には、「実践的な労働教育推進んい向けた労働組合の役割」と題したパネルディスカッションが行われています(パネリストは、研究者、弁護士、高校教員の3名)。

※日弁連「ワークルール教育推進法(仮称)の制定を求める意見書
 
 
「主権者教育」と「労働教育」をどのように連携したらよいのか。

色々と悩みました。


そうした中、迎えた当日ですが、労働教育のパネルディスカッションを聴いていますと、高校生や大学生がブラックバイトに出会ったときにどうしたらいいのか、あるいは、働く際に何に気を付けたらよいのかといった、ワークルール教育(労働教育)の事例を扱っているのですが、「大学生は」、問題解決の主体という意識を持つことが大事」「バイトのシフトをどのようにするかなど、自己決定や交渉を行える力を身に着けることが必要」「コミュニケーション能力を高める」といったことが、キーワードとして出てきました。

まさに、これらは、”主権者教育”でも大事な要素です。

つまり、「主権者教育」と「労働教育」は、別々のものではなく、その根幹においては、大きく重なるものがあります。

「主権者教育」は、学校だけで行うものではなく、実は、大人自身がもっと意識して取り組むべきものだということを、講演を通じて伝えることができたように感じています。

また、私自身の講演の持ち時間は80分でしたが、80分間話し続けるのではなく、途中で30分ほど、参加者による3-4人でのディスカッションの時間をはさみました。

その際、「労働組合が取り組める主権者教育にはどのようなものがあるか。組合として、組合員として、親として、市民として、それぞれの立場できることを考える」ということをお題として提示しました。

ディスカッション後にいくつかのグループから、話し合った内容を発表してもらいましたが、
 ・「何かおかしい」と思ったことがあれば、会社や地域に対して声をあげていく雰囲気をつくっていく
 ・働くことが役に立っている、ということを感じられるように、ホワイト職場ランキングなどを表彰する
 ・様々な課題について、具体的な問題から考える場を創る
 ・子どもが自分の意見を言えるような雰囲気をつくっていく
 ・家庭で、親自身が子どもに対して、社会のことを分かりやすく話す
といったことが出てきました。

「組合として」何ができるのか、ということを考えることも大事なのですが、それだとどうしても「組合」メインで、「自分事」として落とし込むことができにくい。

組合としての行動も大事ですが、まずは一人の人間として、おとなとして、家庭や社会と向き合い、おかしいことをおかしいと言えるようにしていかなければ意味がありません。

そして、こうしたことは、私だけの考えではありません。
参加者一人一人、実は分かっていることで当たり前だと感じているのだけど、言い出しにくかったりします。

また、大人自身が動いていないのに、子どもたちだけに主権者教育を行っていても、効果はありません。
大人自身が、もっともっと、社会と向き合い、自分事化していくことが大事であり、そうした姿をきちんと子どもたちに見せることが大事です。

そうしたことを、今回、気づいてもらえる場にできたのではないか、と思っています。

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