18歳選挙権時代における「政治教育」「主権者教育」に対する先生方の不安や悩み、質問への回答 その2
18歳選挙権時代における「政治教育」や「主権者教育」に対する、先生方から出てくる質問や悩みへの回答。
今日は、その2です。
---
(5)模擬選挙を含め、生徒の評価をどのようにしたらいいのか
→実際の選挙において「自由選挙」となっている以上、「模擬選挙で投票したかどうか」で評価を行うことはありえません。
ましてや、どの政党・候補者を支持しているのかなどで評価を行うことはもってのほかです。
選挙や政治について、これまで、きちんと教わることが無かったり、あるいは、少なくとも授業内で友だちなどと意見交換をする機会が無かった場合、「話す」「考える」ということは、非常に難しいことかもしれません。
とはいえ、「政党の政策について調べてくる」「新聞の見出しに出ている用語の意味を調べる」「政治課題について、各政党のスタンスを調べる」「学校や住んでいる自治体が抱えている課題を調べる」といたことはできるはずです。
こうした課題について、授業内で取り組んだり、あるいは事前学習を課したりして、関心を高め、参加させることはできます。
また、「人前で自分の意見を話すこと」について抵抗感がある場合もあります。
これについて、無理強いして話させるのではなく、話すのが難しいのであれば、レポートにまとめたり、政策比較表を作成したり、あるいは政策に関する意識啓発ポスターをデザインする等、表現する方法はいくらでもあります。
大事なのは、生徒任せにしてしまうのではなく、少しでも、自分の考えや想いを表し、伝えることをするかどうか、です。
そしてまた、自分の意見や想いだけではなく、クラスメートや保護者、あるいは政治評論家、新聞、テレビのコメンテーターなどなど、多様な人の意見や想いに触れて、自分の考えを掘り下げる態度を身に着けるかどうか。
このようなことを通して、評価につなげることは可能でしょう。
(6)教員は、自分の考えを話してはいけないのか
→文科省の通知等では、教員は、自分の考えを話さないこと、となっています。
確かに、教員の一言は、生徒にとっては影響力が大きいです。
それは、教員の考えに賛成する場合でも、反対する場合でも、同じことです。
生徒にしてみれば、教員と同じ意見を持たないと、成績に影響するのではないか、という疑心暗鬼を抱くものなのです。
ですから、教員は、自分が発する言葉が、生徒に影響力を与えるものである、ということを常に意識することが大事です。
もちろん、「教員である自分の意見はあくまでも自分の意見だから、異なる意見があるなら言ってくれて構わない」と話す教員もいるかもしれません。
だからといって、その言葉を鵜呑みにはできません。
そもそも、教員ですら、職員会議で自分の考えや想いをきちんと伝えることをしているのでしょうか。
学校長や、副校長・教頭などは、生徒に対して、自分の意見を伝えたり、あるいは、教員の声を聞こうとしているのでしょうか。
そうした状況の中で、「教員が自分の考えを話せないのはおかしい」と言ったとしても、説得力を持ちにくいのではないでしょうか。
であれば、むしろ、生徒一人ひとりが、自分の考えや想いを言葉にして、話すことができる環境創りに取り組んでいただきたいです。
学校の主人公は生徒です。
生徒が安心して自分の意見を言えるようにするためには、教員が自分の意見を話す前に、まずは生徒の声に耳を傾けることが大事なのです。
« 18歳選挙権時代における「政治教育」「主権者教育」に対する先生方の不安や悩み、質問への回答 その1 | トップページ | 18歳選挙権時代における「政治教育」「主権者教育」に対する先生方の不安や悩み、質問への回答 その3 »
この記事へのコメントは終了しました。
« 18歳選挙権時代における「政治教育」「主権者教育」に対する先生方の不安や悩み、質問への回答 その1 | トップページ | 18歳選挙権時代における「政治教育」「主権者教育」に対する先生方の不安や悩み、質問への回答 その3 »
コメント